澪「え……あ、あの……」
?「あ、ごめん。ビックリして……。俺の曲そないな風に歌う人、初めてやったから」
澪「俺の、う……た…………?あ!あぁぁぁ!!!!」
フードを取ると、そこには澪が口ずさんだ曲を歌うアーティスト西宮 春臣。メディアにはあまりでない、MVやジャケ写ぐらいしか露出せず、本人も豪語するほどの露出嫌い、独りを好み打ち上げにすら一切参加しない人間嫌い、そして独特の世界観を展開し音楽を語ると止まらなくなる音楽バカとして有名なアーティストだ。
シルバーアクセサリーがチャリチャリとなる音で、澪は現実に戻ってきた。
澪「あ、あの、すみません大声だしちゃって。私もビックリしてしまって……!!!!」
春臣「そうだよな。突然本人登場したわけだし……俺も手掴んじゃってごめん」
澪「いえ!!あの!!私こそ……!!」
春臣「ほして、君訪問者タグ付けてるけどどこ行くん?迷子なら案内出来るよ?」
澪「えっと……D3スタジオに届けなきゃならない物が…」
春臣「了解、じゃあ行こう。着くまで個人的に質問してもええ?」
春臣を先頭に歩き始める。背丈のある春臣は澪の歩幅に合わせ、ゆっくりと歩を進める。
春臣「英語の発音めちゃくちゃ自然やったけど帰国子女?それともハーフ?Trapped in your shadow.これを意味理解して落とし込んで歌ってるん感動した。大体は俺の音程に何となく合わせてるだけやし、英語わからんけど響き好きって人ばっかやしさ。それが悪いってわけではあらへんけど、歌詞の意味までしっかり理解して歌ってくれるんめちゃくちゃ嬉しい」
澪「えっと……帰国子女でもハーフでもないです。洋楽ずっと好きで聞いてて、西宮さんの曲もずっと聞いてます。あの曲は絶望しても恋する気持ちが抑えきれなくて求めている曲だから、自分じゃどうしようもない感じを出した方が似合うかなと思ったんです」
春臣「よういわん子だな。めちゃくちゃええ声やったし、ほんまに一般人?」
澪「よういわん……?」
春臣「あぁ、えーと……とんでもないって意味」
