澪「やるよ。最後にチカラになれるなら」
寂しくないと言えば嘘になる。
だけど、環が暴走機関車になったあの時に言った「ユニットアイドル」の夢が明日叶う。最後ぐらい、一緒に何かしたという思い出を作ってもバチは当たらないだろう。
澪「いつまでにやればいい?何なら今からでも出来るよ」
環「マジで!?じゃあやろ!!鉄は熱いうちに打てー!!」
こうして、デビュー前の最後の合作に取り掛かった。紫遊も編集を手伝い、澪も何度も修正をかけ歌い続けた。
『Asteria-アステリア- 新人速報!』
各種SNSでついに披露された2人の姿。
『Royal Prince今宵、あなたの元へ……』
2人は白い衣装に身をまとい、それぞれのカラーの宝石をあつらえたティアラを片手にチャペルのドアを開けてるビジュアルだった。
澪「わぁ……おとぎ話の王子様みたい!」
19時の更新を今か今かと待っていた澪は、ついに公開された2人の姿に驚く。
『世界で一番愛される準備、できてる?
姫は今日から、王子の独占対象』
澪「絶対女の子が大好きなやつ!」
次の画像は、紫遊単体。
白い衣装に紫色の宝石が散りばめられたティアラを持ち、優しく微笑む姿。目尻まで優しく下がっている紫遊は、澪ですらなかなか見ることが出来ない。
『Vo.紫遊
「大丈夫。ティアラの幸せは、全部俺が用意するよ」』
次のページは環。
同じく白い衣装に黄色の宝石を散りばめられたティアラを持ち、くしゃっと笑っている。賑やかな環らしい……太陽のような笑みだ。
『Vo.環
「ティアラが笑えば、それだけでオレは最強になれる」』
デビューシングル発売と、視聴、ショートMVも同時公開と書かれてある。さっそく聞いてみると、そこには王子姿の2人が……。
甘くてとろけるような、姫を恋焦がれ求めている王子の歌。顔を見えないようにしたカットの女優に2人がティアラをつけるシーンで終了した。
澪「色も合ってる……。曲も、紫遊と環の色も合ってる。お洋服もカッコイイし、これめちゃくちゃ人気になるんじゃ……?」
ピコン
澪のスマホから通知音。環と紫遊と澪のグループチャットからの通知だった。
環「澪ー!オレ達の見たー?」
澪「見た見た!スゴいよー!めっちゃカッコイイ!」
紫遊「撮影頑張ったかいがあった」
澪「しばらく学校来てなかったもんね」
環「初めてロケ弁食べた!」
紫遊「撮影の時はロケ弁って言葉で合ってるのか?」
環「じゃあ撮弁!》」
澪「初めて聞くんだけど!」
環「で、さ。澪が歌ったの、そっちの反応見た?見てないなら見てきてみ?」
