これはまだ3人が中学生の時の話。
家族で夕飯を食べながらTVを見てると、澪が話していたコスメのCMが流れた。
環「あ…これ月森さんが言ってたやつ」
環母「月森さん?」
環「んー。同じクラスの子。オレの英語の先生」
環母「あぁ!アンタがあんなにいい点数取ってきたの、その子のおかげなのね!」
環「めちゃくちゃ分かりやすくてさー、ちょっと英語好きになったわ。あ、これも月森さん言ってたヤツ。なんか話題になってるスイーツなんだってさ」
環の母はピンと来た。
環母「いい子なのねぇー」
環「めっちゃいい子!優しいし、勉強めっっちゃくちゃわかりやすく教えてくれるし、話してみたら意外と気が合うんだよ!」
環母「いっつも紫遊君の事ばっか言ってたアンタが、ついに女の子の話とはねぇ」
環「ちょ…!!月森さんはそんなんじゃねーって!!」
環母「はいはい、冷めないうちに食べちゃいなさい」
ホントにそんなんじゃ無いのに…とブツブツ言いながら夕飯を平らげる。しかし考えてみれば、紫遊との馬鹿話以外の話はそんなにしていない。クラスで起きたちょっとした事件や、学校内でこんな事があって…といった不特定多数の話こそすれど、『特定の女の子』の話は…確かにしていない。
その次の日から、母の言葉が妙に引っかかり始めた。澪以外の女の子とももちろん話すが、今日こんな事があってさーと話すのは紫遊か澪の話。自分でも驚くほどだ。
