「たのむよぉぉぉぉぉ!!!!!英語教えて!!!俺の留年がかかってるんだよぉぉぉぉ!!!!」
彼女、月森 澪の前に両手をあわせている男子がいた。
四時間目、英語の授業で期末試験の範囲が発表された。なかなかに広い範囲だが、英語が得意科目である彼女は今回も大丈夫そうだと安堵した。周りの生徒は目が空をみているもの、嫌悪感MAXな者、澪と同じように地獄へおちていない目をしているものと様々。授業終了のチャイムがなるのと同時に各々の感情を吐き出していたが、そこへひときわ騒がしい声が。
環「ふっっっっざけんな!!!!日本に住んでんのになんで英語やんなきゃなんだよ!!!!あーー…オレホント終わった。マジ終わった」
紫遊「安心しろ環、中学生だからそもそも留年しない」
環「気持ち!気持ちの問題!」
女生徒「じゃあ月森さんに勉強みてもらえば?ね?月森さん」
澪「え?」
環「月森さん!英語得意!?」
澪「う…うん。好きだよ」
そして冒頭のように叫んだ。留年しないから大丈夫なんだけどな…と澪も思うものの、こう頼まれては断れない。彼、白石 環の願いをOKした。その隣に腰掛けている「天城 紫遊」は、だから留年しない…とつぶやく。
紫遊「いいのか…?コイツ相当だぞ?」
澪「うん。私自身も教えながらちゃんと知識ついてるか確認できるし、それで白石くんの成績が上がってくれるなら嬉しいし」
環「マジありがとー!家庭教師代はアイス何本?入手困難なパンでも、なんか最近流行ってるプリンでも何でも買うから!」
澪「い、いいよ大丈夫!じゃあいつから始める?今日から?」
環「今から!オレ昼飯食いながらやる!」
紫遊「……行儀が悪い」
最初の出会いは本当に些細な事だった。
洋楽好きが高じて英語が好きだった澪、テスト返却で過去最高点をたたき出した環、二人を静かに見守る紫遊。仲良くなるのに時間はかからず、同じ進路を辿り高校生になっても相変わらずだった。
環「紫遊さ、お前体の軸ブレないよな。体育の授業ん時思った」
紫遊「ん?」
環「お前、イケメンじゃん。もう何人かから告られてんじゃん?」
紫遊「は?」
環「体の軸がブレねぇからダンスも出来そうだし、音痴じゃないし、イケメンだし、最強じゃね?最高じゃん?って事でさ!」
バシンと机を叩き、紫遊に言う。
環「オレとユニット組んでアイドルやろーぜ!?」
紫遊フリーズ。横で一緒にご飯を食べていた澪も同様に。
いったい何を言うかと思えば…と紫遊は頭を抱える。しかし紫遊は知っている。こうなった環は暴走機関車のごとく止まらない。何が彼に火をつけたのかは知らないが、全く乗り気ではない。澪はその顔を見るだけで紫遊がどう返答するか、読めてしまう。
環「オレダンス出来るからダンス担当、お前ビジュ担当!」
紫遊「いやビジュ担当だけでアイドルできないだろ…。ちょっとは考えろ?」
環「で、これやろーぜ!」
紫遊と澪に見せてきたのはYouTube。歌ってみた、踊ってみた等様々なコンテンツを映し出している。なるほど、環に火をつけたのはコレか。今流行っているダンスは一人では出来ない、二人もしくはそれ以上でやるものだ。これをアイドルと呼んでいいかは謎だが、見る限り「出来る男」に見えるダンスだった。紫遊は断ろうかと思い目線をそらしたところ…目を輝かせているもう一人がいた。
澪「すごい…!!これ見た事あるけど、二人がやったら映えそう!」
環「だよな!?だよなぁぁぁ??さっすが澪、わかってんじゃん!」
紫遊「(分が悪い…。2対1…とは……)」
澪「ねぇ紫遊、1回!1回でいいからやってみない!?」
環「オレ一人じゃ出来ないんだよー!助けると思って!一緒にアイドルになろーぜ!?」
純粋でキラキラとした笑顔を見せてくる。見たところ、さほど難しいダンスではなさそうだ。1週間も練習すれば意識せずとも踊れるだろう。
環の思考は中学時代からぶっ飛んでいるとは思っていたが、踊ってみたをアイドルといいきるほどにぶっ飛び具合が加速しているようだ。
紫遊「…………1回だけだ」
環・澪「やったーーー!!!」
なぜこんな事に…。だがそんな紫遊とは裏腹に二人は撮影日程やダンス内容の話に大盛り上がりしており、キラキラしている。敵わない。そう思いながら弁当をつついた。まぁ1回やれば環も落ち着くだろう…そう考えていた紫遊だったが、世間が黙ってはいなかった。
環「みーてーみーろーよー!オレたちのヤツ、視聴回数ぶっ飛んだぞ!」
澪「いち…じゅう……ひゃ…え!?……バズってる…!」
紫遊「……………………(嫌な予感がする)」
澪「次、二人で何するの!?歌ってみた!?ゲーム実況!?」
環は紫遊の事をイケメンと言っていたが、実は環も路線は違えどモテる容姿を持ち合わせている。人懐っこい性格に似合うベビーフェイス、ダンスで培った筋肉、ニッと笑えば犬歯がかわいく主張する。紫遊はその落ち着きに似合う大人びた顔、目鼻だちがすらりとしており白い肌に黒髪のコントラストがさらに大人びた顔を強調する。一見正反対の二人だが、この塩梅がウケて動画がバズったらしい。環と澪で企画会議をする横で、この3人でいるこの時間も悪くないと思い始めた紫遊。
これは始まりの物語。
この動画のバズりが3人の人生をかえる事となる。
彼女、月森 澪の前に両手をあわせている男子がいた。
四時間目、英語の授業で期末試験の範囲が発表された。なかなかに広い範囲だが、英語が得意科目である彼女は今回も大丈夫そうだと安堵した。周りの生徒は目が空をみているもの、嫌悪感MAXな者、澪と同じように地獄へおちていない目をしているものと様々。授業終了のチャイムがなるのと同時に各々の感情を吐き出していたが、そこへひときわ騒がしい声が。
環「ふっっっっざけんな!!!!日本に住んでんのになんで英語やんなきゃなんだよ!!!!あーー…オレホント終わった。マジ終わった」
紫遊「安心しろ環、中学生だからそもそも留年しない」
環「気持ち!気持ちの問題!」
女生徒「じゃあ月森さんに勉強みてもらえば?ね?月森さん」
澪「え?」
環「月森さん!英語得意!?」
澪「う…うん。好きだよ」
そして冒頭のように叫んだ。留年しないから大丈夫なんだけどな…と澪も思うものの、こう頼まれては断れない。彼、白石 環の願いをOKした。その隣に腰掛けている「天城 紫遊」は、だから留年しない…とつぶやく。
紫遊「いいのか…?コイツ相当だぞ?」
澪「うん。私自身も教えながらちゃんと知識ついてるか確認できるし、それで白石くんの成績が上がってくれるなら嬉しいし」
環「マジありがとー!家庭教師代はアイス何本?入手困難なパンでも、なんか最近流行ってるプリンでも何でも買うから!」
澪「い、いいよ大丈夫!じゃあいつから始める?今日から?」
環「今から!オレ昼飯食いながらやる!」
紫遊「……行儀が悪い」
最初の出会いは本当に些細な事だった。
洋楽好きが高じて英語が好きだった澪、テスト返却で過去最高点をたたき出した環、二人を静かに見守る紫遊。仲良くなるのに時間はかからず、同じ進路を辿り高校生になっても相変わらずだった。
環「紫遊さ、お前体の軸ブレないよな。体育の授業ん時思った」
紫遊「ん?」
環「お前、イケメンじゃん。もう何人かから告られてんじゃん?」
紫遊「は?」
環「体の軸がブレねぇからダンスも出来そうだし、音痴じゃないし、イケメンだし、最強じゃね?最高じゃん?って事でさ!」
バシンと机を叩き、紫遊に言う。
環「オレとユニット組んでアイドルやろーぜ!?」
紫遊フリーズ。横で一緒にご飯を食べていた澪も同様に。
いったい何を言うかと思えば…と紫遊は頭を抱える。しかし紫遊は知っている。こうなった環は暴走機関車のごとく止まらない。何が彼に火をつけたのかは知らないが、全く乗り気ではない。澪はその顔を見るだけで紫遊がどう返答するか、読めてしまう。
環「オレダンス出来るからダンス担当、お前ビジュ担当!」
紫遊「いやビジュ担当だけでアイドルできないだろ…。ちょっとは考えろ?」
環「で、これやろーぜ!」
紫遊と澪に見せてきたのはYouTube。歌ってみた、踊ってみた等様々なコンテンツを映し出している。なるほど、環に火をつけたのはコレか。今流行っているダンスは一人では出来ない、二人もしくはそれ以上でやるものだ。これをアイドルと呼んでいいかは謎だが、見る限り「出来る男」に見えるダンスだった。紫遊は断ろうかと思い目線をそらしたところ…目を輝かせているもう一人がいた。
澪「すごい…!!これ見た事あるけど、二人がやったら映えそう!」
環「だよな!?だよなぁぁぁ??さっすが澪、わかってんじゃん!」
紫遊「(分が悪い…。2対1…とは……)」
澪「ねぇ紫遊、1回!1回でいいからやってみない!?」
環「オレ一人じゃ出来ないんだよー!助けると思って!一緒にアイドルになろーぜ!?」
純粋でキラキラとした笑顔を見せてくる。見たところ、さほど難しいダンスではなさそうだ。1週間も練習すれば意識せずとも踊れるだろう。
環の思考は中学時代からぶっ飛んでいるとは思っていたが、踊ってみたをアイドルといいきるほどにぶっ飛び具合が加速しているようだ。
紫遊「…………1回だけだ」
環・澪「やったーーー!!!」
なぜこんな事に…。だがそんな紫遊とは裏腹に二人は撮影日程やダンス内容の話に大盛り上がりしており、キラキラしている。敵わない。そう思いながら弁当をつついた。まぁ1回やれば環も落ち着くだろう…そう考えていた紫遊だったが、世間が黙ってはいなかった。
環「みーてーみーろーよー!オレたちのヤツ、視聴回数ぶっ飛んだぞ!」
澪「いち…じゅう……ひゃ…え!?……バズってる…!」
紫遊「……………………(嫌な予感がする)」
澪「次、二人で何するの!?歌ってみた!?ゲーム実況!?」
環は紫遊の事をイケメンと言っていたが、実は環も路線は違えどモテる容姿を持ち合わせている。人懐っこい性格に似合うベビーフェイス、ダンスで培った筋肉、ニッと笑えば犬歯がかわいく主張する。紫遊はその落ち着きに似合う大人びた顔、目鼻だちがすらりとしており白い肌に黒髪のコントラストがさらに大人びた顔を強調する。一見正反対の二人だが、この塩梅がウケて動画がバズったらしい。環と澪で企画会議をする横で、この3人でいるこの時間も悪くないと思い始めた紫遊。
これは始まりの物語。
この動画のバズりが3人の人生をかえる事となる。
