「さ、さんきゅ…」
篠原の優しさに恵まれてかんしゃしねぇとな…。
「なあ、篠原」
「あ、えはい!?」
え、呼んだだけでこんな驚かれんのなんで?
「どした?」
「いや、だって…いっつもお前って呼ばれてるからびっくりして」
「あー…そうだったな。悪い」
好きな子にまでお前呼ばわりとか…無意識とはいえ、失礼だな、俺。
「んん、全然平気だよ。けど、苗字で呼ばれたほうが、嬉しい…かも」
「え」
なんで、そんな…可愛いこと言うんだよ。
俺、今脳内お花畑なんだけど。
何々?俺に苗字で呼ばれて嬉しいの?それは、喜んでいいんだよな?
やべぇ、嬉しくてにやけるのと恥ずいので顔が変になってる。
ふと…今までの篠原への俺の思考がよみがえる。
『可愛い』『好き』‥
あれ、俺ってほんとに女嫌いなんだっけ?
そう思う時が多くなる。
「っごめんね、こんなこと言っても意味ないよね!!」
笑って誤魔化そうとする篠原の両腕をつかむ。
「おま…篠原は、いつも笑ってっけど、ほんとは泣いてるの知ってるから。俺は…お前の笑った顔に救われたけど、篠原が落ち込んでたら助けてぇから。俺にももっと正直になれよ。室川にばっか頼んな」
「へ、室川くんに私が?そんなこと…」
「今日サボったの、室川から誘ったって知ってる。けど、篠原も楽しそうにしてたって言ってた」