「優紀〜!」
勢いよく私に抱きついたのは、幼馴染の鶴城蘭。
推し活?が好きで女の子らしくて可愛い、自慢の親友。
「ねぇ聞いて!今日も室川くんと目があっちゃった!あ、広瀬くんにはガン無視されたけど」
室川大智くんと広瀬伊吹くん。
学校でも有名な男子たち。顔面偏差値というものがものすごく高いらしい。
「へぇー、そうなんだ。良かったね!」
蘭が嬉しそうに話すことなら聞くけど、室川くんと広瀬くん自体にはあまり興味がないというか…。
適当に相槌を打っていると、次第に蘭が不満そうな顔をしてきた。
あれ?何かあったのかな?
「優紀って2人に無関心だよね。普通、イケメン男子がいたらキュンってなったり、好きになったりしない?」
「うーん…そう簡単には好きになりたくないなぁ。あっ、でもかっこいいとは思ってるよ!」
「……そ。まぁ、優紀が初恋なんてしたら私が相手を見定めてから一発ぶん殴るかもだから、恋愛なんてしなくていいかもね。優紀は」
「ぇ?で、でも!したいとは思ってるよ!?」
仲間はずれになりたくなくて、焦って言ったけど、少しは本当のことだし…いっか。
「じゃあ例えば理想は?」
え、理想?
好きなタイプみたいなことかな?
「あまりないけど、強いて言うなら面白くて優しい人、かな」
そう言うと、蘭が目をまん丸にして驚いた。
「えー!イケメンは!?」