「ふふ、私は母が紅茶を入れるところも、刺繍をするところも見たことはありません。でも、皆、母上を見るとと寄っていきます。ミリアも人が寄ってくる魅力がある人です。ミリアは今のミリアのままで良いんですよ。」
気がつくと、レナード様が ベッドで私に抱きつきながら耳元で囁いている。
「どこから、忍び込んだんですか? 婚前交渉などもっての他です。出てってください」
私は驚きのあまり彼を突き飛ばそうと押したがビクともしない。
「婚前交渉などするつもりはなかったんですが、ミリアは大胆なんですね。ただ、眠りにつく瞬間まで話をしたかった純粋な私を惑わすようなことばかり言ってほんとうに悪い女です」
私を組み敷きながら、口づけをしてくる彼に条件反射のように応えてしまった。
流石にこれ以上はない、結婚前に本当に何を考えているかわからない男だ。



