ただ、彼の自信に溢れた緑色の瞳に導かれるように言葉を紡いでしまった。

「日々寄ってくる男たち。彼らを突き放す度に悪くなるクラスの雰囲気。俺をミリア様のカモフラージュ彼氏として利用しませんか? 告白されることは減りますよ」

彼の言葉に改めて彼の外見を見た。
確かに彼はルックス的にそこそこ優れたものを持っている、そこから来る自信なのだろうか。

「そんな宣伝文句じゃ売れる商品も売れないわよ。それに、他の男があなたに勝てると思ったら寄って来るでしょう。しかも、婚前に恋人を作るなんて私の評判に関わるわ」
私は彼の馬鹿馬鹿しい申し出を断ろうとした。

「俺は入学試験2位の成績でした。アカデミーではなりふり構わず勉学に勤しみ、将来は中央で要職につきたいと考えています。将来のカルマン公爵で宰相になりたいとお考えのミリア様にはうってつけの相手ではございませんか? 婚前の恋人が足枷になるのは、高位貴族のご夫人になられる場合ですよね。ミリア様には関係なくないですか?」

私は彼が私の次席の成績で入学したということを初めて知った。
トップを維持するために、次席の彼の能力を知っておくことも必要かもしれない。

そして彼が女としての私には興味がなく、私と同じ志を持っていることに心を動かされた。
私はずっと孤独を感じていたから、彼のような同志が欲しかったのかもしれない。