努力して能力を示したことと、公爵家に他に子が生まれなかったことで私は女でありながら後継者として育てられた。

姉は生まれながらに自分は美しく紫色の瞳を持っていて誰より価値があると自負している。
それゆえ何一つ努力せず、朝から晩まで取り巻きとおしゃべりをしている。

そんな愚かな姉のおかげで、私は帝国初めての女公爵になれるかもしれないという自分の生き甲斐をみつけることができた。

相変わらず愚かでキレ散らかす姉を見ていると、逆に紫色の瞳を持って生まれて姉のような勘違い女にならなくて済んだことに感謝したい。

「私、結婚したら、すぐ子供を産むわ。その子供の教育係をお父様に頼めるかしら? できるだけ早くその子を皇帝にしたいのよ」

姉はラキアス皇子殿下との結婚も許可を得ていないのに、その先の自分の計画を話している。

相変わらず自分勝手な女だ。
世界が自分の思い通りになると勘違いしている。

「私は公爵としての仕事があるから難しい、優秀な教育係を手配する」

父の言葉にその通りだと思った。

なぜ、宰相で公爵である父が教育係などするのだ。
宰相や公爵の仕事がどれだけ激務かも、自分のことしか考えない姉の頭では理解できないのだろう。

それにしても結婚を許可されていないのに、もうラキアス皇子と結婚は既定路線になった会話に変化されている。

姉は愚かに見えて、人を自分の思い通りに動かす誘導が抜群にうまい。

「お父様が、彼は皇帝にふさわしくないって言ったんでしょ。だから、とっとと息子に譲位して私たちは楽しい隠居生活を送りたいの」

姉がまたとんでもない計画を話してきた。