姉はあの怖い家で育った同士だ。

私にはないしがらみに苦しみながらも、ひたすらに自分の役割を遂行している。
私が王子様に連想するのはレナード様だけれど、姉は可哀想なことに童話の中にしか王子様を見出せない。

あの時本を置いてくれた姉の私への優しさに報いるためにも、私も姉の完璧な王子様を作るお手伝いをしなければ、それがささやかな姉の願いなのだから。

「ミリア、あなたにして欲しいのは完璧な王子様のお相手のお姫様を作ること。私の願いはこれだけなの。アーデン侯爵とミリアの子が良いの。お願いだから今すぐ作って!」