「具合が悪いと言っても無理そうね。いいわ、すぐ支度して」
今日の私はとびきりブスだ。
明らかに目が開かないくらい晴れているし、肌ツヤも徹夜で泣いていたから良くない。
化粧で綺麗にみせる範疇を超えてボロボロだ。
帝国で一番の王子のようなルックスをしたモテ男だ。
美しく着飾った手入れの行き届いた女ばかりを見てきたに違いない。
きっと、いくら公爵に請われたところで、こんなブスな女は嫌だと言ってくれる。
煌びやかなドレスに着替えさせられる。
ドレスが豪華な分、ブスが際立ってナイスなチョイスだ。
「こんなボロボロの私じゃ、アーデン侯爵が逃げ出さないか心配だわ」
私はほくそ笑みながら呟いた。



