夜が白み始めた頃、
雪蘭は温かな腕の中でそっと目を覚ました。
凌暁も同じ瞬間にまぶたを開き、
互いの視線が触れ合う。

昨夜、確かに交わされた想い――
その余韻が、
胸の奥で静かに光となって宿っている。

どちらともなく微笑み合い、
雪蘭の頬をそっと包む凌暁の指。
「行こう。雪蘭。」
「……はい。」
迷いのない声だった。
二人は手を取り合い、
ゆっくりと神殿へと歩き出す。