〝トルネードキャノン〟と、
俺が名付けた全く渦を巻かないスパイクは、
相手選手のお腹付近に当たり、
何とか点を捥ぎ取る形となった。
俺のトルネードキャノンをモロに喰らったんだから、
立つことは愚か、
明日は筋肉痛で苦しむことになるだろう、
と心配の念を抱いていたら、
「大丈夫!俺の腹筋、鋼だから」と心配するチームメイトに対して気丈に振るまっているから、
鼻についた。
いや、
いくら鍛え上げた腹筋を自慢したいからといって、
ダサすぎる発言はよろしくない。
腹筋が鋼というダサワードにこちらサイドは失笑の嵐で、
先輩だということさえ忘れてバカにまでしている。
「鋼の腹筋だからハッキンじゃね?」
コートに足をつけて、
ブロンズ像の考える人のような体勢であだ名づけする俺を、
小馬鹿にされ殺気だったハッキンが咎《とが》めるような視線を投げていた。
それに、
他いる男子メンバーまでもが笑いながら、
鋼の腹筋術師やら、
フッキンさんとか言っちゃってる。
決してハッキンを怒らしたわけじゃないんだ、
誰が一番面白いあだ名をつけられるか、
大喜利感覚で遊んでいるだけ。
「ハッキンがやっぱり言いやすいな」
「俺の鋼の腹筋術師もいいけど、そっちの方が言いやすい。それにしよう」
「フッキンさんは長くないけど、さんつけるのも違うしね。というか、鋼より硬いのあるくね?」
「確かに。それで言うとダイヤモンドとか?」
「俺の腹筋、ダイヤモンドだから!やばッウケんだけどーー」
情け容赦ない俺たちは腹筋弄りで弄《もてあそ》ぶ。
きな臭い、
暗雲が垂れ込める不穏な気配。
「もうその辺にしときなよ。先輩が可哀想じゃん」
「うーん?それもそうだな。でも、後輩に情けをかけらるのも可哀想だと思うんだが。余計に傷つくよ?」
「そんなことないでしょ。きっと腹筋のように、鋼のメンタルだと思うしさ」
口は災いの元だというように、
無神経なことを言ってしまう実頼は自分の粗相に気づいていない。
このデリカシーがなく空気を読めない性格には毎度、
度肝を抜かされる。



