あれからというもの、私は必死にこの世の中を逃げるためお作戦を一人で練っていた。

逃げるためにどうすればいいのか。

誰も教えてくれなかったから、どう動いていいかわからなかった。

だけど買い物の途中でそれを示唆してくれる存在が出来たのだ。

それは偶然ぶつかってしまった日のこと。




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(はぁ。今日もなにもないな・・・・)


私は望まれて生まれた子でもないみたいだし。

いっそいなくなりたい。

いなくなる方法・・・・か。


なんて考えていたら、目の前に人がいることに気付かなくて転んでしまった。



「!?なんだ」



私はこの人の足に引っかかってしまったみたいだ。

「ごめんなさい!!!」

「いった・・・・」

「ごめんなさい!お怪我はされてませんか!?」

私は慌てて振り返った。

そこにはきれいな顔立ちの男性が眉間にしわを寄せて足首を揉んでいる。

「いや、大丈夫だ」

「ですが・・・」

「それより・・・・あなたは大丈夫ですか」

「私は大丈夫です!あああぁぁ、ぼんやりしたばかりに・・」

「ぼんやりとは・・・女性一人で、か?」

私はポケットにあるハンカチを取り出していると、男性の視線を感じて目を見る。

するとパッと視線を外された。

「少々・・・・どこかへ行きたい気持ちでふわふわとしておりました。もうしわけございません」

「その気持ち、わからなくはない」

「え?」

「なら、どこかへ行けばいいのでは?」

その発想は、今までなかった。