僕の彼女である夏目柚希(なつめゆずき)は、明るくて、少しお節介で、まるで向日葵のような人だった。

笑顔がとにかく太陽みたいで。
柚みたいなフレッシュで、元気いっぱいで。

「将来は保育士になりたいんだ」と苦手なピアノも頑張る姿に、
「課題ムズすぎでしょ…」と嘆く姿に、

僕は何度も柚希のことを「守ってあげたい」と、「一緒にいたい」と、思うようになった。


でも、そんな生活は続かなかった。


半同棲していたのにも関わらず、突然切り出された「別れ」。


「私、凌くんよりも好きな人ができたの」というセリフに似つかず、苦しそうな顔をしていた。


受け止められないまま、彼女は最低限の荷物を持って僕の部屋を出て行った。


別れ話を切り出されてから2ヶ月後。



8月の終わり、柚希の誕生日を迎えたその瞬間。





午前1時4分に、柚希は車に轢かれて亡くなった、と。


柚希のLINEから、明け方連絡が来たのだった。