あれは、高校二年の春。
 学校をサボり、バイクで2時間ほど走った砂浜にぼんやりと佇み、潮風で乱れた髪をかきあげて、ため息をついた。

 私は、何もかもが中途半端な高校に進学したことを、一年経ってもずっと悔やんでいた。
 中学時代に転校してくる前の街には友達もいて、今でも連絡を取っているが、この田舎は排他的すぎて、いつまで経っても馴染めない。
 それなのに、親がここに根を下ろすと言った時には、心底絶望した。
 決して、こんなところは、私の故郷になどなり得ないのに。

 中学時代は、多少はクラスメイトに合わせて友達ヅラもしていたが、もうそのことにも疲れた。
 時折、中学時代に一緒にいた子と鉢合わせても、おしゃべりする気もなく、軽く会釈して目をそらしてしまう。