「意外と勘が鋭いじゃない。仮面舞踏会にはノコノコついて来たくせに」
「にゃー!(やっぱり、アルマなのね)」

私は長い時間フェリクスと過ごして来たから気がつけただけだ。
こんな風に完全に他の人間に変身できるのでは捕まえようがない。

「にゃー?(狙いは何)」
「何言ってるのか、分からないし煩い」
私は首根っこを掴まれフランシスから引き離された。

「にゃい!(離せ!)」
私は精一杯手を伸ばして、アルマの顔を引っ掻く。
「痛っ! 最悪。よく自分に尽くしてくれた男の顔を平気で引っ掻けるわね。あんたって実は性悪よね」
「にゃい!(お前が言うな!)」
私はもう一度アルマの顔を引っ掻いた。