そして、私が産んだフランシスもこの時間は猫だ。
夜だけ開く花屋を閉めて、部屋で猫として親子で寄り添う時間。
私は既にこの時間に安らぎを感じるようになっていた。

階下から階段を登ってくる音がする。
(この時間にフェリクスが戻ってくるなんて!)
扉をノックする音と共に汗だくのフェリクスが現れる。

「にゃー!(タオル、使って!)」
私は口に咥えたタオルをフェリクスに渡す。
フェリクスは真っ白なタオルで汗を抑えながら口を開いた。

「エリナ! アルマが魔女だったとルスラム帝国から発表があって、今、指名手配になってる」
「にゃー、にゃー?(そんな、キルステンは大丈夫なの?)」