ビルゲッタを無理矢理にても連れて帰るべきだった。
僕はまたプライドが邪魔して、彼女に背を向けてしまった。

昔から、僕を一途に思ってくれていたビルゲッタ。
彼女の気持ちが他の男に向いたなど信じてはいない。
それでも、拒絶の言葉を投げかけられ縋るなんてできなかった。

もし時が戻せるならば、彼女と出会った時からやり直したい。
いつも頭の中は僕のことでいっぱいで、僕の隣にいる為に努力をし続けた彼女。
無償の愛を向けられることがなかったから、戸惑った。
冷たい態度をとっても彼女は変わらなかったから調子に乗っていたのかもしれない。

フェリクス・ダルトワが憎らしくて仕方がなかった。