私とフランシスが猫になっている時間。
キルステンを一目見たい気持ちと、猫の体で群衆に紛れる危険を考える。
(無理だよね⋯⋯)

♢♢♢

フランシスも何か感じ取っているのか、今晩はなかなか眠りについてくれない。

「オギャー! オギャー!」
「どうしよう、本当に泣き止まない。どこか悪いのかな?」

私とフェリクスは手探りでフランシスを育てていた。

「鼻水も出てないし、耳が痛い訳じゃないと思うけれど」
子供は鼻水が出ていると、その菌が耳にまでいくらしい。
いわゆる中耳炎になりやすいのだ。

「熱もないし、何か不安があるのかも」
私の言葉に何かを感じ取ったようなフェリクスが目線を落とした。