「相手は大帝国の皇太子殿下よ。直接お渡しなんて、そんな大それた事は期待してないわ。ただ、私はずっと前から応援している気持ちを伝えたいだけ。幼い頃にお母様を亡くして、今度は奥さんに逃げられた皇太子殿下が不憫で仕方ないの。その上、唯一の皇位継承権を持つプレッシャーもあるでしょ」

「そうですね」

私は花屋の軒先の揺り籠で揺れるフランシスを見つめる。

「遠くの国のおばちゃんだって味方だよって気がつけば、少しはお心を慰めることができるんじゃないかってね」

セレストさんは軽くウインクしながら、花束を受け取りお代をカウンター置いていった。

パレードは昼間に行われる。