「俺は皇太子妃を攫ってきたんだぞ。お前の呪いが解けて戻っても、良くて身分剥奪国外追放。普通に考えれば断頭台行きだ」
「そんなこと、私が絶対させない!」
思わず出た自分の無責任な発言にゾッとする。

今の私はキルステンと離婚し皇族でもなんでもない。
ただの家出した我儘侯爵令嬢だ。

「ごめん、フェリクス。本当にごめん」
私は自分が猫になったことで、気が動転し視野が狭くなっていた。
キルステンの寵愛に溺れたのも束の間。
一生このまま昼間は猫になる事に恐怖した。

助けて欲しいと手を伸ばしたら、フェリクスがその手を引いてくれた。