宗介が行ってしまった後、恋は、まっすぐ帰るのもつまらないのでと教室をブラブラする事にした。

 恋は教室のベランダに出て、置いてある植物を観察したり、隣のクラスのベランダまで歩いて外の景色を眺めたりした。

 と、そういう恋の姿を、教室から睨んでいる女の子が一人居た。

 黃崎さんは、宗介と美風の間でふらふらする恋の事を快く思っていなかった。

 大体、はっきり美風様のたった一人の恋人ならまだ分かるが、新田恋は二股だ。
 いや、たった一人の恋人だとしても認めない。

 黃崎さんはそう思っていたのである。

 黃崎さんは鞄に時間割をしまうと、鞄を自分の席に置いて、恋が居るベランダまでやってきた。