3年の校舎からやってきた伊鞠は、まっすぐ2−1の教室に向かった。

 階段を登って、廊下を歩き過ぎ、ガラガラと戸を開けて教室を覗く。

 教室では、恋の席で恋と理央が話をしている所だった。


「新田さん。駒井さん。」

「あ、加納先輩」

「あ、おはようございます。先輩。」

「おはよう。さっそくだけど、今日はお誘いがあって来たの。」


 伊鞠は言葉を切って、茶髪のポニーテールをさっと揺らすと微笑んだ。


「今度の日曜壁新聞の展覧会があるのよ。私達、この間壁新聞の大会で賞を取ったの。」

「賞?」

「凄い、いつ受賞したんですか?」

「ついこの間よ。授賞式が先週にあって、お祝いはもう内輪で済ませたわ。今度その展覧会があるから、新田さんたちに見に来て貰えないかと思って。」

「面白そう!。行く行く。絶対是非是非見ににいきますよ。ね?恋。」

「行ってみたいかも。」

「ありがとう。喜んで貰えて嬉しいわ。そう言ってくれると思ってたの。場所は……」



 それから伊鞠は展覧会の立地と日時を説明した。