日曜日。
今日は理央のうちで勉強会をする事になっていた。
恋は着替えをして宗介を宗介の家に迎えに行った。
「恋。」
「宗介、支度できた?」
宗介はリビングのテーブルに出していた教材とノートと筆箱を、ひとつずつ取ると薄い鞄に入れた。
「今日は行かなくていいのに。もう、お前のせいで。面倒。だる。」
「行ったら行ったできっと面白いよ。」
「英語だけは生まれで僕より樋山の方が詳しいとは思うけど、教え方が上手いかはどうかは別問題だろ。僕の方が分かり易く教えられると思う。英語と数学が得意、ちっ嫌だ嫌だ僕の得意科目と被ってる。先生の話によれば樋山は真面目な良い生徒で、他の教科も僕と同じ位出来るらしいけど。あーあ、癪。あいつハーフだっけ?」
「クォーターだよ。だから髪の色が淡いんだよね。」
「小癪。小洒落れてクォーターだなんて。恋には純日本人の僕の方が合うに決まってる。外見で選んだら僕と樋山は張るけど、ちゃんと中で選べよね。もし外見で選んだら、クラスのミーハーな女子達と何も変わらないって言うから。……ったく。行きたくない、今日も。何が悲しくてライバルと勉強会。かったるい。」
宗介がそうぼやいた所で、玄関のチャイムが鳴った。

