また学校。

 恋は、今日は美風と自分の席で、ペットフードの話をしていた。



「新田さんが食べるのはドッグフードじゃなくていつもキャットフードなんだね。何か違いでもあるの?。キャットフードの方が柔らかいとか味が濃いとか。」

「そういう訳ではないんだけど、成分がキャットフードの方は狐向きなのかも。魚の方が良いみたい。」

「僕たちには分からないけど、やっぱり違ってるんだろうね。また買ってあげるよ。何でも言って。そうそう、」



 美風が言葉を切った。



「別荘の事、ちゃんと分かってるよね?」

 恋は、口を開いてから、顔を上げたところで固まった。

 黒板前の教卓には、にっこり笑顔でこちらを見ている宗介。

 指を鳴らしながらその顔は「行ったらどうなるか分かってる?」と言っている。


「そ、宗介が……」

「え?何?」

「そ、宗介も行くなら」

「え?」



 宗介のそのおっかない絵面に、恋はその後宗介も行くなら、としか喋らなくなった。