電車に乗ると席が人数分なかったので、宗介と美風と律が女の子達を座らせた。


「そうそう、樋山くんも上野くんも、100の質問シート、ちゃんと答えてくれた?」

 
 座席に座った伊鞠が口を開いた。

 
「何ですかそれ。」


 律が吊り革に捕まったまま聞き返した。


「向井くんにも今度持って来るわ。記事の肝になるネタなのよ。雑誌を読んでいた時ひらめいたの。黒白両王子に、カップルへの質問シートに答えて貰って新しい記事にするの。面白いわよ。」

「答えるわけないでしょう。」



 宗介が言うと、伊鞠が座ったまま宗介の方を見上げた。


「あら、どうして?。黒王子と白王子のプライベート、それから三角関係。ああいうの、ファンの子大喜びよ。」

「ファンもなにもない。僕は一般人だ。迷惑。下らない質問だけあんなに沢山、どうかしてる。あんなのに真面目に答える男どこにも居ませんよ。先輩方頭腐ってるんじゃないですか。1回看て貰った方がいいですよ。」

「左に同じ。僕あんなの答えるの嫌ですからね。絶対白紙で返しますから。そんな義務もないし。恋愛のことばっか、よくあんなに考えつくよ。嫌だ嫌だ。軽蔑します。自分でおかしいと思わないんですか。」

「おかしくなんかないわよ。」


 伊鞠が鼻を鳴らした。


「黒白両王子の心の秘密を知りたがってるファンはいっぱい居るんだから。ファンサービスはすべきよ。黒王子は恋人をどう思っているか。白王子はライバルとされるのを一体どう考えているのか。また黒王子の初恋相手は幼馴染の姫なのか、白王子は転校生だけど前の学校に姫は居たのか。凄く盛り上がるじゃない。」


 苛立った顔をした宗介と美風とそれから恋達を乗せて、電車は駅に着いた。