学校。

「恋」

 恋が鞄の中身を整理していると、理央がやってきた。


「恋、福引当たった。水族館のチケットだったけど。せっかくだからみんなで一緒に行ってみない?」

「水族館?」


 恋と理央が話していると、斜め前の席から美風が振り向いた。


「あ、樋山くん。樋山くんも水族館、行くよね?」

「水族館かあ。最近行ってないな。あの魚が泳いでる感じとか水中に光が差し込む感じとか、好き。癒やされるよね。なんとなく涼しくない?水族館って。僕はそう思うんだけど。」

 美風が言う間に、宗介がやってきた。


「恋!」

「あ、宗介」

「上野くん。上野くんも水族館一緒に行こうよ。」

「はあ?」


 宗介はちょっと面倒くさそうな顔をした。


「水族館ってデートスポットだろ。僕と恋が2人で行くなら分かるけど、なんでみんなで行くんだよ。普通に考えておかしい。あんなロマンチックな感じの場所、恋人以外と行く気しない。行くなら恋と2人きりで行きたい。」

「そんなこと言ったって10枚もあるんだもん。みんなで行った方が面白いよ。」

「賛成。上野と新田さんが2人でデートスポットに行こうとしたら、僕が黙ってない。どうせだったらみんなで行った方が楽しいよ。」

「そうだね。」

「律ちゃんも新聞部の先輩達も誘うから、これで7人。明日香は従兄弟と行ったばっかりだって言うし多紀にはさっき部活があるって断られたんだ。」

「面倒くさ。デートスポットに大所帯。魚にも興味なんかないし。」

「逆に記念になって良いよ。」



 理央は日程について話し始めた。