写真を撮る段階になると、恋達はまず2階にある真っ白い壁の大きなステージに立たされた。

 
「笑って笑って。いつもの通りに。恋ちゃんとっても綺麗だから。」

 
 パシャパシャとプロのカメラマンが写真を撮る音。


「今度は笑わないで。ちょっとポーズ変えてみようか。ポップな感じに作ってみよう。」

  
 スポットライトが恋を照らして、恋はちょっと眩しそうにしていた。

 
 恋達を撮影してからアシスタントさんとカメラマンは、なんと今度はと美風と宗介にもカメラを向けたがった。


 
「僕は今日はちょっと付き添いなんで……」

「僕も写真撮られるの苦手なんで困るんで……」

「2人ともいい男だなあ。イケメンだって言われるでしょう。男性モデルを探してるところで、丁度いいのがあるんですよ。そちらにエントリーしてみては。」



 カメラマンは強情で、結局、恋も律も宗介も美風も写真を撮られる事になってしまった。


 パシャパシャパシャとカメラが宗介の仏頂ヅラを映す。
 宗介はポーズを取れと言われると素直にそのポーズをしたが、その表情は「納得いかない。」と言っていた。

 
「良いね良いね。キミうまいねトップモデルになれますよ!」

 
 美風がポーズを取ると、アシスタントとカメラマンは大褒めに褒めた。

 美風はどんなポーズを取っても美しく、洋服がお洒落に決まって見えた。

 
「僕は小さい頃やった事があるんだ。プロの子供モデル。ちゃんと事務所に入ってた。僕も撮られるの嫌ですぐ辞めたけど。向いてる向いてるって言われ続けて、両親はやらせたかったみたい。あのままやってたらテレビ俳優とかやらされてたかも。辞めて良かったよ。今日は久しぶりに自分の写真撮られたな。」


 ブツブツ小声で小言を言っている宗介を横に、上着を脱ぎながら美風が恋に言った。