新聞部はその後も、ぎゃあぎゃあ言いながら恋たちに付いてきた。

　帰り道、民家の並びを通って宗介と恋の家の角へ来ると、伊鞠が言った。



「あの大きい家が上野くんの家ね。で、隣が新田さん宅。」

「上野くんち和風ですよね。大きい一軒家。中どんなかな。」

「先輩方は見ないで貰えません？。プライベートです。写真撮ったら訴えますよ。」

「調べた所によれば樋山くんちは坂の上の御屋敷だから……樋山くん、離れてて悔しいでしょ。」

「ええ。とっても。」

「高校になったら、3人で暮らしたらどうかしらね？」

「？」



　きょとんとした顔の恋。



「うざった。僕と恋の二人でですよ。先輩、余計な事言わないでください。」

「上野んちは庶民だから、高校の間自活はさせないに違いない。その点、僕のうちは。新田さん、僕と一緒に暮らしてくれるでしょう？」

「馬鹿言えよ。」



　宗介が言った。



「恋は大学で、僕と二人暮らしするんだ。樋山なんかの出る幕はない。一生。な？恋。」

「うーん……」

「返事。」


　
　分かれ道で、何と答えたら良いかまだ迷っている恋の横顔に、伊鞠がパシャリ、とシャッターを切った。