ところでその頃恋は。
恋は嗅覚を頼りに宗介達の所に辿り着いた。
後ろから宗介の頭にジャンプすると、丁度運悪く振り返った宗介の顔面に張り付いた。
宗介は狐のまま恋の頬を思い切り抓った。
「お前は!。樋山と一緒にあちこち探し回ったんだぞ。どうして居なくなるんだよ。」
宗介から逃げまとって恋が美風の後ろへ隠れると、美風はしかめっ面で恋を捕まえ、手をグーにしてコツンと狐の恋の頭を打った。
ドロン!と恋は狐から人の姿に戻った。
「痛た……」
「や・く・そ・く!」
頭を押さえた恋に美風が言った。
「キミは一人でウロウロしない!。僕が庇うとでも思った?。馬っ鹿じゃないの、迷子になんかなって!。」
「恋、本当に危ない。」
宗介が言った。
「マスターが言ってた。変な奴らもいっぱい居るんだ。いい加減分かれよ。お前は一人になって良いの?」
「良いわけないでしょ。ったく。僕がどれだけ心配すると思って。」
「分かったらもう二度としない。ふらふらするな。一人で出歩くな。はぐれたら僕達がもと来た道を探すから、お前はその場から動かない。いい加減にしとかないとまた痛いゲンコツ食うよ。」
「げんこ一発食って怒られて反省。そうやって言われるの嫌でしょ?。わざと言ってるからね。……1人で出歩かない。これは約束。良い?。分かった?。じゃなかったらグーだよ。」
宗介と美風に睨まれて、恋は仕方なく頷いたのだった。

