3人が行ったカフェには、カウンター席とテーブル席があり、3人はカウンター席に座った。


「見ない顔ですね。旅の方ですか?」

 
 マスターが注文したアイスティーを飲んでいる宗介に軽く聞いた。


 
「ええ。」

「魔法覚醒者だったら良いが、このところ星型の町々は厄介ですよ。影のモンスターと結託する輩が出てましてね。」

「そうなんですか?」

「そうなんですよ。なんでもまじないで契約すれば、影のモンスターを操ることができるとかで。」 

 

 宗介は自分達が魔法覚醒者だと明かさなかった。
 恋を危ない目に合わせる訳にはいかない、と宗介は恋に目をやった。
 恋はきょとんとした顔でアイスティーのセットの苺のタルトをフォークでつついている所だった。


 
「マスター、」

 
 マスターは他の客に呼ばれた。

 
「はいよ。じゃあ旅の方も、くれぐれも気をつけなすってくださいね」


 

「大問題。影のモンスターと契約だって。」

  
 美風がサンドイッチを食べながら言った。


 
「まじないって、特別なのがあるんだろうね。契約して脅迫や恐喝に使う訳か。危ないな。魔法が存在する分、そういう事もあるのか……。まじないってどの位効くんだろうね。」

「ピストルあるけど……」

「ピストルの弾が当たる当たらないは運次第だから、確かに危ない。一般人には脅威だろうな。」

 

 宗介が言った。


 
「最も、僕と樋山は魔法が使えるから関係ないけど。ささっと杖の一振りでモンスターなんか消せるし。問題は恋だな。」

「新田さん、そういう輩に会ったらすぐ僕の所に来なね。守ってあげるから。」

「僕はお前をちゃんと守ってやれるけど、樋山はどうか分からない。僕の所に先に来いよ。恋。」

「絶対に僕が新田さんを守ってあげるんだ。誓う。僕が居ない時は、まあしょうがないから上野を頼らなきゃだけど。どっちにしろ、僕たちから離れちゃ駄目だよ。……まあ滅多に居ないと思うけどね。そんな人」

「だろうな。でも気をつけろよ。」


 
 サンドイッチを食べ終わった宗介は、デザートのプリンを大きく掬って口に入れた。