「今年の宿泊学習は野外体験教室です。」 教卓を背にした担任の小山田先生は、教室の黒板に白いチョークで縦書きに大きく野外実習と書いた。 「生徒たちにとって、野外体験教室は6年生最大の楽しみです。1人1人責任を持って、普段では経験できない活動をして、思い出に残る一日を作りましょう。」 恋は、窓際の後ろの席で先生の話を聞いていた。 6年生のキャンプは毎年恒例で、梅雨明けと同時に始まる。 恋も生徒たちも教室を楽しみにしていた。