話は変わって冬休みをすぎた学校。


「早く返せよ。そのネックレス、捨てるから。」


 苛立った声の宗介が美風に言った。


「嫌だね。お前がそのネックレスを外したらいいだろ。目障りだ。」


 美風が宗介に言い返した。

 2人とも、細いチェーンの、銀色のネックレスを、首につけている。


 クリスマスに恋から貰ったアクセサリーを、2人ともとても大切に思っていた。



「お前は彼氏じゃないんだから遠慮しろよ。紛らわしいんだよ。いい加減。」

「うるさいな。お前さえ居なきゃ良かったのに。今に僕が新田さんの恋人になってやるから、そう思えよ。」

「ふざけんなよ。恋の彼氏は永遠に僕一人だ。お前が部外者なんだよ。恋だってそう思ってる。」

「どうだか。新田さんはまだ迷ってる。僕の前では僕を好きだって言う。好きなのはお前じゃない。」

「しつこいんだよ。振られた癖に。こら恋、こいつに何とか言え。お前が悪いんだからな。」



 宗介は教室の一番前で、黒板を消している恋の背中に向かって怒鳴ったが、恋は気づかなかった様だ。