「ふむ、この絵の具の飛び散り方...俺への嫉妬が原因だと考えられるな。俺の圧倒的な美貌に、誰かが嫉妬したに違いない。」
　




　「だから、それは犯人の動機としては無理があるでしょ。もっと現実的な線で考えないと。」
　





　「現実的？君は現実を知らないな、美亜。この世で最も現実的なのは、俺の美しさなのだよ。」
　





　直人は、美術室の大きな鏡に映る自分の姿にうっとりしながら、自信満々に語る。そんな中、弘美が机の引き出しから何かを取り出した。





　
　「これは...犯人の足跡っぽいな。サイズは25.5cm。直人の足は26cmだから、違うな。」
　





　「弘美、なんでそんな詳しいんだよ。まさか、犯人って君のこと？」
　




　「『まさか！私は、この事件の解決のために、秘密裏に調査を開始していたのだ！』...って、そういう設定でどうだ？」
　




　「設定はいいから、証拠になりそうなものはないの？」
　




　美亜は、弘美のゲームのようなセリフ回しに若干イラつきながらも、証拠を探し始める。




ふと、彼女は床に落ちている、小さな銀色の破片に気づいた。