美亜がそう言い終わるか終わらないかのうちに、ドアの隙間から弘美の声が聞こえてきた。
 





 「了解!ヒロミ、次なるステージへ進む!」




 
 向井 弘美(ムカイ ヒロミ)は、ヘッドフォンを首にかけたまま、いつものようにゲームのセリフで応答する。





彼女がゲームの世界に没頭すると、現実世界との隔絶が激しくなるのだ。
 






 「まったく、この生徒会室は、毎日がコントみいね。」
 





 美亜は、額に手を当てて苦笑いした。




書記の天然ボケ、庶務のナルシスト、そしてゲーマーの会計。



個性豊かなメンバーに囲まれ、彼女のツッコミ人生は、今日も絶好調にカオスなのであった。






それでも、美亜はこの賑やかな日常を、どこか心地よく感じていた。







だって、退屈な学校生活より、ずっと面白いのだから。