弟ができた。しかも、ほぼ一歳も違う。なのに……私より頭が良い。
「莉咲!辻くんと二人暮らしはどう!?」
「ちょ、周りに聞こえるからやめて……!」
辻莉咲、十七歳。四月三日生まれでクラスで一番生まれが早い。
ちなみに、苗字が辻になったのは春休みぐらい。お母さんの旧姓、仁科莉咲だったんだけど、なんと再婚をして、苗字が変わりました。
そしてその再婚相手の連れ子が隣のクラスのモテ男子・辻怜央だった。私は辻怜央が大嫌い。関わりを極力避けるくらいに。
なのに、一人暮らしを始めれば「怜央も一緒に住んであげたら楽なんじゃない?」って連太郎さんが言うからそれに怜央も賛成し、絶賛二人暮らし中。
「これには何の意味もないのに毎日忙しいよ。気を抜けばびっくりするぐらい怜央が近づいてくる」
「きゃー!何その展開!是非参考にさせて!!」
「どうぞご自由に」
友人の南沢梓紗が叫ぶ。梓紗は小説サイト・ダイヤで小説を書いている。それもゴリゴリの恋愛小説。
トレンドランキング上位を占めているらしいし、まぁすごいとは思うけど……できるだけ男子と何かした!?とか聞かないでほしい。
「ねー、誰か莉咲知らない?」
「莉咲ー、呼ばれてるよー」
「あ、はーい」
隣のクラスの男の子に呼び出されて席を立つ。同じ委員会の男子で名前は二条葉月くん。私と同じ四月生まれで唯一の仲間。
