チャイムの音が鳴り終わると同時に、体育館の空気がざわめいた。
桜色のリボンで飾られた壇上には、卒業証書を抱えた生徒たちが次々と並んでいる。
望月咲は、窓の外をぼんやりと見つめていた。
「今日で、ほんとに高校が終わるんだ」
三年間を思い返しても、派手な思い出はない。地味で目立たず、休み時間は図書室にこもってSF小説を読みふけり、ひとりでノートに“タイムトラベルの仮説”を書き連ねる日々。
――けれど、それが咲の誇れる青春だった。
式が終わり、校庭へ出たときだった。
「……咲」
背後から呼びかける声に、胸が跳ねる。
振り向けば、バスケ部のエースで、みんなの憧れだった佐倉蓮が立っていた。
汗もないのに、練習帰りみたいに眩しい笑顔。けれど、その瞳はどこか真剣で。
「俺さ、ずっと……お前のことが好きだった」
一瞬、時間が止まったように感じた。
耳の奥で鼓動がうるさく鳴る。
まさか、こんな大事な日に、彼から告白されるなんて――。
だが、咲の口から出た言葉は、思い描いていた返事とは全く違うものだった。
桜色のリボンで飾られた壇上には、卒業証書を抱えた生徒たちが次々と並んでいる。
望月咲は、窓の外をぼんやりと見つめていた。
「今日で、ほんとに高校が終わるんだ」
三年間を思い返しても、派手な思い出はない。地味で目立たず、休み時間は図書室にこもってSF小説を読みふけり、ひとりでノートに“タイムトラベルの仮説”を書き連ねる日々。
――けれど、それが咲の誇れる青春だった。
式が終わり、校庭へ出たときだった。
「……咲」
背後から呼びかける声に、胸が跳ねる。
振り向けば、バスケ部のエースで、みんなの憧れだった佐倉蓮が立っていた。
汗もないのに、練習帰りみたいに眩しい笑顔。けれど、その瞳はどこか真剣で。
「俺さ、ずっと……お前のことが好きだった」
一瞬、時間が止まったように感じた。
耳の奥で鼓動がうるさく鳴る。
まさか、こんな大事な日に、彼から告白されるなんて――。
だが、咲の口から出た言葉は、思い描いていた返事とは全く違うものだった。

