「エレノア、お前いつから騎士になったんだよ」
私は今、馬車でハンスに邸宅まで送ってもらっている。
跪いて騎士の誓いをした私を見て、明らかにフィリップ王子は動揺していた。

私を立ち上がらせとにかく心配をされた。
ハンスが助け舟とばかりに私を邸宅で休ませると言って私を馬車まで連行してくれて事なきを得たのだ。

「最近、剣術をやっていたからかしら。私はフィリップ王子が仕えるに値する君主だと思って、それを伝えようとしただけなんだけれど⋯⋯」
自分の身を守るために剣術をはじめたが、私にはおそらく素養がない。

ハンスは優しいから、私に剣術の才能がないことを伝えてこないだけだ。
騎士資格をとって自分に武力があることを示したかったが、筆記試験しか通る気がしない。

剣術に取り組んだことで騎士気分になっていたのだろうか、騎士の誓いなどたてて私はきっとフィリップ王子に変な少女と思われただろう。

「普通に伝えろよ。笑いを堪えるのが大変だったぞ。もしかして、フィリップ王子殿下に一目惚れとかしたの?顔真っ赤にして、挙動不審になっていたけれど」
ハンスが笑いながら伝えてきた客観的に見た私の姿に気落ちした。
私はかなり不審な姿で王子殿下と接してしまっていたらしい。

一目惚れしたとしたらそれは2年前の時だ。