「エレノア、3年間、私と過ごした後は魅了の力を消す薬を飲んでフィリップに乗り換えるおつもりですか?」
ダンテ補佐官が疾風の如く去った後、レイモンドが私を強く抱きしめながら言ってきた。

これが彼の発想なのかと驚愕した。
私はそんなことは少しも思いつきもしなかった。

私が当然のように3年居心地の良いレイモンドを利用し、魅了の力に縛られなくなったら彼を捨ててフィリップ王子に乗り換えると思っているのだ。

彼は本当に人を道具のようにしか思っていないのだろうか、21年間、豊かな国で国王になる未来を約束された生活をしているとここまで自分勝手な発想ができるようになると言うことだ。

彼の根本的な自己中心的で人を気分で利用する性格を変えるのは無理そうだ。

「エレノア、あなたは本当に酷い女です。コロコロ態度を変えて私を弄んで利用して捨てるのですね」

彼の発想に驚いて言葉が出なかっただけなのに、沈黙を肯定と取ったようだ。
そして彼はどうしてすぐに被害者になりたがるのだろうか、いつだって彼は加害者な気がする。