夏の終わり、蝉の声も少し落ち着いて、街には秋の匂いが混じり始めていた。


日用品を買うために入った小さな書店店の奥で、何冊かの歴史書を手に取っている青年の背中が見える。
 

肩幅、立ち姿、指先の仕草。


一瞬で胸が締めつけられる。
 

「…勇さん…?」
 

思わず声が漏れた。