目がゆっくりと開くと、白い天井と柔らかな光。


胸の奥に鈍い痛みがあり、体中がまだ重い。

 

まぶたの裏で波の音がかすかに響くような気がして、夢と現実の境目が揺らいだ。


「ここは…?」


「あら、目が覚めたのね。ここは病院よ」


病院…


「あなた、男の子を助けて海で溺れたのよ」


あ…そういえばそうだった…


男の子を押したら、波に飲まれたんだっけ…


「でもよかったわ、2日間、目が覚めなかったけどね」


「え?」


驚いた。


私の記憶の中では、何度も夜を迎えたから。