荷物置きの上に荷物を置いてブースの中の画面をタッチする。
『盛れるラインに足を置いてね!』
私は足跡の位置まで移動した。
「撮影開始するよー」
『まずはみんなでハート!』
プリ機がはしゃぐような声を発している。
「俺こんなん恥ずいんだけど」
「誰も見てないって!」
柚音と遥樹くんがわちゃわちゃしている間に『3、2、1』とカウントが始まってしまった。
『次はかわいくニャン!』
あいまいなハートを作ると、すぐ2枚目の撮影が始まってしまった。
『3、2、1』
無難にピースを作って2枚目の撮影が終わった。
『これが最後だよ!かわいくキメっ!』
8枚目の撮影が始まる前に、柚音が「みんなで変顔しようよ!」と言い出した。
「俺はやらない。」
「遥樹のいじわる―、澄羽っち一緒にやろーよー」
こちらに懇願するような表情を向けられ、思わずうなずいてしまった。
結局、最後のプリクラには変顔をする柚音と私の後ろで無表情でピースを浮かべる遥樹くんという何とも言えない構図が出来上がってしまった。
『右側の撮影ブースに移動してね!』
私は荷物を持って右のカーテンをくぐった。



