「私両替してくるね」

「あたし並んで待っとくね~。ここのプリ機だからちゃんと戻ってきてね」

ゲームセンターについた私は、500円玉を両替するために両替機に向かった。

500円を投入口に入れると、じゃらじゃらと音を立てて払出口から100円玉が出てきた。

財布に100円玉を入れて、私はプリクラコーナーに戻った。

「おまたせー。」

財布を手に持って二人の元に戻ると、柚音が「じゃんけんしよ!」と言い出した。

「なんでだよ」

だるそうに言い放つ遥樹くんに柚音が説明する。

「これ500円だから、勝った人が100円出して!じゃんけんぽい!」

じゃんけんの結果、柚音が100円出すことになった。

順番がやってきたので、私は投入口に200円を入れて画面をタップした。

『はかなげ天使盛れコースか小悪魔魅惑盛れコースか選んでね!』

プリクラ機がかわいらしい声を発している。

「はかなげか小悪魔どっちがいい?」

後ろを向いて私たちに聞いたようだが、別に私はどっちでもよかったし、そもそもよくわかっていなかった。

「柚音の好きな方で」

私と同じく、遥樹くんがそっけなく柚音に返事した。

「じゃあはかなげで。」

『はかなげモードは色素薄めの透明感のある盛れ方だよ!淡めカラーで統一して…』

プリ機が律義に説明してくれるが何一つ私には理解できなかった。

『プリクラのデザインを選んでね!』

はかなげ天使盛れの説明を終えたプリ機がまたかわいらしい声を発する。

「俺いらないから結城と柚音もらって」

遥樹くんのお言葉に甘え、私はデザインを選ぶことにした。

チューリップが書かれたデザインやテディベアがあしらわれたデザイン、白地に黒い文字で撮影日時だけが書かれたシンプルなデザインなどの中から、私はレトロなカメラが書かれたデザインを選んだ。

「さすが写真部だね、澄羽っち!あたしこれにしよー」

『左側の撮影ブースに移動してね!』

プリ機の指示に従って、私たちは撮影ブースに入った。