___「 おはよう。よく眠れた?」


そんな声が頭上からして、ゆっくりと瞼を持ち上げる。
あれ……昨日、なにしてたんだっけ、俺。



「 途中で意識飛んじゃってね、きみ。身体は大丈夫?」


「 …痛い、です。」


「 ふふ、そうだよね。」



そう言いながら俺の横に腰を下ろし、ベッドが深く沈み込む。何も言わず、ただただニコリとしている彼をじっと見つめた。彼に気づかれるのも厭わず。


…やっぱり、棗に似ている。そう思った。
でも、それだけじゃない。

似ているけれど、もっとどこか上品で大人な感じだ。

危なげ、というか。儚さというか。そんなものもあるように思う。