俺には、その声がはっきり聞こえたんだ。
空の色が淡いオレンジ色になる時分、ひんやりとした風がふわっと吹いた。
俺は、大型の雑貨店で買い物をしたあと、家に帰るために駅へ向かっていた。
その駅は大きな駅でJRや私鉄が多く乗り入れているため、いつもごった返していて、その駅の入り口で、高校生らしい集団が募金活動をしていた。
「助け合いましょう」と。
立ち止まって募金をするひともいれば、見て見ぬふりをするひともいた。
俺は買い物を終えたばかりで手持ちがあまりなかったけれど、
きっとヒーローならここで募金をすると思ったので、財布を出そうと、背負っていたリュックサックを下ろしたところで、
聞こえたんだ。
- 偽善者。
俺は後ろから聞こえたその声にすくみあがってしまい、
あわててリュックを背負いなおして駅の中へ逃げ込んだ。
あの募金活動は誰のためのものだったのだろう。養護施設にいる子どもたちのためのものか、
ホームレスを救うためのものか、それとも海外の途上国援助か。
ヒーローだったら絶対に逃げ出さないのに。
俺は、こう言う時、いつも保身に走ってしまう。
だから、
時々、思う。
こんな俺が正義の味方なんて描いていて良いのか、と。
空の色が淡いオレンジ色になる時分、ひんやりとした風がふわっと吹いた。
俺は、大型の雑貨店で買い物をしたあと、家に帰るために駅へ向かっていた。
その駅は大きな駅でJRや私鉄が多く乗り入れているため、いつもごった返していて、その駅の入り口で、高校生らしい集団が募金活動をしていた。
「助け合いましょう」と。
立ち止まって募金をするひともいれば、見て見ぬふりをするひともいた。
俺は買い物を終えたばかりで手持ちがあまりなかったけれど、
きっとヒーローならここで募金をすると思ったので、財布を出そうと、背負っていたリュックサックを下ろしたところで、
聞こえたんだ。
- 偽善者。
俺は後ろから聞こえたその声にすくみあがってしまい、
あわててリュックを背負いなおして駅の中へ逃げ込んだ。
あの募金活動は誰のためのものだったのだろう。養護施設にいる子どもたちのためのものか、
ホームレスを救うためのものか、それとも海外の途上国援助か。
ヒーローだったら絶対に逃げ出さないのに。
俺は、こう言う時、いつも保身に走ってしまう。
だから、
時々、思う。
こんな俺が正義の味方なんて描いていて良いのか、と。



