理玖との約束の日がやって来た。
弟はすでに出かけていて留守のため、私は一人分の昼食を早めに済ませる。
その後自室に戻り、クローゼットの扉を開けた。昨夜のうちに選んでおいた洋服を取り出す。手持ちの中で最も大人しいデザインのワンピースだ。理玖と一緒にいても恥ずかしくないように、またその逆も然りで、私といることを理玖が恥ずかしく思わないようにと、迷いに迷って選んだ一着だ。その上には紫外線と冷房対策用に、お気に入りのレースの羽織ものを重ねる。
アクセサリーはどうしようかと考えているところに、スマホが鳴った。急いで画面を見れば、理玖からメッセージが入っている。これから待ち合わせ場所に向かうと書かれていた。
互いの連絡先は、家庭教師を始めて割とすぐに交換していた。しかしこれまでは、連絡を取り合わなければならない状況になったことはない。まさかこんな形でメッセージのやり取りをすることになろうとは、思いもよらなかった。
「とりあえず、私も行かなきゃ」
これにしようと決めた小さなピアスを耳に飾り、バッグを手にして階下に降りた。
電車に揺られ、降りるべき駅が近づくにつれて、そわそわし始めた。今日は理玖の付き添いのようなものだと心の中で何度も言い聞かせて、やっと落ち着いてくる。同時にどきどきしていた鼓動も静かになった。
約束の時間よりやや早く、待ち合わせ場所のビルの前に到着した。もう着いているだろうかと辺りを見渡してすぐ、ある一点に目が吸い寄せられた。
正面に広場があるのだが、そこに置かれたベンチの一つに理玖は腰かけていた。少し距離がある場所から見ても分かる程、そこだけきらきらして見えたのはきっと目の錯覚ではない。彼の前を通る、あるいは少し離れた所に立つ女の子たちの目も、理玖の姿に引き寄せられていたのが何よりの証拠だ。
弟はすでに出かけていて留守のため、私は一人分の昼食を早めに済ませる。
その後自室に戻り、クローゼットの扉を開けた。昨夜のうちに選んでおいた洋服を取り出す。手持ちの中で最も大人しいデザインのワンピースだ。理玖と一緒にいても恥ずかしくないように、またその逆も然りで、私といることを理玖が恥ずかしく思わないようにと、迷いに迷って選んだ一着だ。その上には紫外線と冷房対策用に、お気に入りのレースの羽織ものを重ねる。
アクセサリーはどうしようかと考えているところに、スマホが鳴った。急いで画面を見れば、理玖からメッセージが入っている。これから待ち合わせ場所に向かうと書かれていた。
互いの連絡先は、家庭教師を始めて割とすぐに交換していた。しかしこれまでは、連絡を取り合わなければならない状況になったことはない。まさかこんな形でメッセージのやり取りをすることになろうとは、思いもよらなかった。
「とりあえず、私も行かなきゃ」
これにしようと決めた小さなピアスを耳に飾り、バッグを手にして階下に降りた。
電車に揺られ、降りるべき駅が近づくにつれて、そわそわし始めた。今日は理玖の付き添いのようなものだと心の中で何度も言い聞かせて、やっと落ち着いてくる。同時にどきどきしていた鼓動も静かになった。
約束の時間よりやや早く、待ち合わせ場所のビルの前に到着した。もう着いているだろうかと辺りを見渡してすぐ、ある一点に目が吸い寄せられた。
正面に広場があるのだが、そこに置かれたベンチの一つに理玖は腰かけていた。少し距離がある場所から見ても分かる程、そこだけきらきらして見えたのはきっと目の錯覚ではない。彼の前を通る、あるいは少し離れた所に立つ女の子たちの目も、理玖の姿に引き寄せられていたのが何よりの証拠だ。