その日、いつものように土屋家を訪ねた。
先週までと打って変わって心が軽い。とは言え、失恋の痛手から完全に立ち直ったかというと、まだそこまでではない。
しかし少なくとも涙で目を腫らすことも、食事が喉を通らないということもなくなっている。時間が解決してくれるとはよく言うが、私は理玖の優しさのおかげでもあると思っている。
先週の理玖とのやり取りを思い出すと面映ゆいが、今日はそれ以上に緊張の方が大きい。なぜなら、先週理玖が言っていた通り、今日までに期末テストの結果が出揃っていると思われるからだ。
どうか彼の勉強の成果が現れていてほしいと強く祈りながら、私はインターホンを押した。
ドアが開き、友恵が顔を出した。途端に緊張する。挨拶を交わしている間にも理玖のテストの結果が気になって仕方がない。靴を脱ぎ、用意されていたスリッパに足を入れた時、友恵が嬉しそうに言った。
「今回の理玖のテスト、びっくりするほど良かったんですよ。先生のおかげね。本当にありがとうございます」
ようやく私はほっと胸を撫で下ろした。
「良かったです。でもそれは、理玖君が頑張った結果ですから」
「だけど、あの子をやる気にさせてくれたのは先生ですもの。それでね。いつもながら急ですみませんけど、良かったらお夕飯、一緒にどうかしら?ケーキも買ってあるんです。お祝いなんていう大げさなものではないけど、お疲れ様の意味も込めて。どうかしら?」
「嬉しいお誘いですが、すみません。今夜は家で食べる予定なんです」
弟の善が夏風邪をこじらせて昨日から寝込んでいた。つきっきりで看病しなくてはいけないわけではないが、せめて食事くらいは用意してあげたいと思う。
理由を聞いた友恵は納得したように頷いた。
先週までと打って変わって心が軽い。とは言え、失恋の痛手から完全に立ち直ったかというと、まだそこまでではない。
しかし少なくとも涙で目を腫らすことも、食事が喉を通らないということもなくなっている。時間が解決してくれるとはよく言うが、私は理玖の優しさのおかげでもあると思っている。
先週の理玖とのやり取りを思い出すと面映ゆいが、今日はそれ以上に緊張の方が大きい。なぜなら、先週理玖が言っていた通り、今日までに期末テストの結果が出揃っていると思われるからだ。
どうか彼の勉強の成果が現れていてほしいと強く祈りながら、私はインターホンを押した。
ドアが開き、友恵が顔を出した。途端に緊張する。挨拶を交わしている間にも理玖のテストの結果が気になって仕方がない。靴を脱ぎ、用意されていたスリッパに足を入れた時、友恵が嬉しそうに言った。
「今回の理玖のテスト、びっくりするほど良かったんですよ。先生のおかげね。本当にありがとうございます」
ようやく私はほっと胸を撫で下ろした。
「良かったです。でもそれは、理玖君が頑張った結果ですから」
「だけど、あの子をやる気にさせてくれたのは先生ですもの。それでね。いつもながら急ですみませんけど、良かったらお夕飯、一緒にどうかしら?ケーキも買ってあるんです。お祝いなんていう大げさなものではないけど、お疲れ様の意味も込めて。どうかしら?」
「嬉しいお誘いですが、すみません。今夜は家で食べる予定なんです」
弟の善が夏風邪をこじらせて昨日から寝込んでいた。つきっきりで看病しなくてはいけないわけではないが、せめて食事くらいは用意してあげたいと思う。
理由を聞いた友恵は納得したように頷いた。