「ただいま」
「おかえり」
「夕飯のおかず買ってきたよー」
「嘘!! もう作っちゃったんだけど!?」
「え?」
- ふたり暮らしヘタ民 -
「きみさぁ、
このスーパー、明日から月初めのセールなんだよね」
私の部屋のこたつで、ちょっと遅めの夕食を食べながら、私は向かい側にいるパートナーの顔をにらむ。
「うん、それで?」
「この豚丼、明日の方が安い」
「じゃあ、明日また買ってくるよ」
「そうじゃない」
ニコニコしながら白い八重歯を見せるパートナーを見て、頭痛を覚えはじめた私である。
本日のメニューは、
豚肉とキャベツともやしの塩やきそばと、ワカメと絹豆腐の味噌汁と、豚丼。
豚肉かぶってる……
つい2カ月前から、都内某市の郊外にあるこの小さなアパートで、パートナーと暮らしはじめた。
部屋はふたつ。駅からはバスで20分プラス徒歩15分。清潔だし、贅沢だと思う。
くるくるの天然パーマの黒髪を前髪重めのショートにしたパートナーは、もうすぐ30歳になるダンサーだが、
ダンス以外の仕事も多い。振付師、MC、俳優、DJ、歌手、映像制作・編集、小説家、イラストレーター。何でも屋さんだ。
一見ひょろりとした真っ白いもやしに見えるが、実はおなかは6つに割れているし、二の腕も太ももも筋肉が太い。あまり見せたがらないので、
ほとんどのひとが気づかないけれど細マッチョだ。
愛くるしいまん丸の黒い目が、黒くてバサバサのまつ毛に縁どられている。鼻が高い。唇はぽってりしている。左頬の高いところに小さなホクロが3つある。
あまりしゃべらないし、人見知りだが同時に甘えん坊。もともとは私の会社の後輩だった。
私はと言えば、それなりの大手企業の末端にいる一社員だ。会社では腰まである長い髪をひっつめて目立たないようにしている事務員だが、
休みになると髪を巻いたり編んだりしている。フェイクのエクステンションをつけたり。
もうすぐ31歳になる私の趣味はコスプレだ。休日はメイドになったり、アニメや漫画のキャラクターになったり、vtuberのコスプレもする。絶対に会社に垢バレしたくない。
「きみ、私と同居する気あるのか」
「あるからここにいるんじゃん」
「節約しろ」
「この豚丼、値下げのシール貼ってあった」
「すき」
「えへ」
デコボコしまくっているけれど、それなりにしあわせな私たち。
「おかえり」
「夕飯のおかず買ってきたよー」
「嘘!! もう作っちゃったんだけど!?」
「え?」
- ふたり暮らしヘタ民 -
「きみさぁ、
このスーパー、明日から月初めのセールなんだよね」
私の部屋のこたつで、ちょっと遅めの夕食を食べながら、私は向かい側にいるパートナーの顔をにらむ。
「うん、それで?」
「この豚丼、明日の方が安い」
「じゃあ、明日また買ってくるよ」
「そうじゃない」
ニコニコしながら白い八重歯を見せるパートナーを見て、頭痛を覚えはじめた私である。
本日のメニューは、
豚肉とキャベツともやしの塩やきそばと、ワカメと絹豆腐の味噌汁と、豚丼。
豚肉かぶってる……
つい2カ月前から、都内某市の郊外にあるこの小さなアパートで、パートナーと暮らしはじめた。
部屋はふたつ。駅からはバスで20分プラス徒歩15分。清潔だし、贅沢だと思う。
くるくるの天然パーマの黒髪を前髪重めのショートにしたパートナーは、もうすぐ30歳になるダンサーだが、
ダンス以外の仕事も多い。振付師、MC、俳優、DJ、歌手、映像制作・編集、小説家、イラストレーター。何でも屋さんだ。
一見ひょろりとした真っ白いもやしに見えるが、実はおなかは6つに割れているし、二の腕も太ももも筋肉が太い。あまり見せたがらないので、
ほとんどのひとが気づかないけれど細マッチョだ。
愛くるしいまん丸の黒い目が、黒くてバサバサのまつ毛に縁どられている。鼻が高い。唇はぽってりしている。左頬の高いところに小さなホクロが3つある。
あまりしゃべらないし、人見知りだが同時に甘えん坊。もともとは私の会社の後輩だった。
私はと言えば、それなりの大手企業の末端にいる一社員だ。会社では腰まである長い髪をひっつめて目立たないようにしている事務員だが、
休みになると髪を巻いたり編んだりしている。フェイクのエクステンションをつけたり。
もうすぐ31歳になる私の趣味はコスプレだ。休日はメイドになったり、アニメや漫画のキャラクターになったり、vtuberのコスプレもする。絶対に会社に垢バレしたくない。
「きみ、私と同居する気あるのか」
「あるからここにいるんじゃん」
「節約しろ」
「この豚丼、値下げのシール貼ってあった」
「すき」
「えへ」
デコボコしまくっているけれど、それなりにしあわせな私たち。



