柱:学校・昼休み・教室
ト書き
教室の ど真ん中。

透が遥の手を掴み、はっきりと言い切ったその瞬間、
クラス中が驚きと興奮の声を上げた。

女子A「え、えええ!? 今のって告白!?」

男子B「透がそんなこと言うなんて……マジかよ!!」

ト書き
普段クールな透が、
感情をむき出しにして遥に向き合っている。

遥は、
透の強く握られた手を見つめながら、
自分の心臓が激しく高鳴るのを感じた。

遥(モノローグ)
「……夢みたい。」
「透が、こんなふうに私のことを……?」

ト書き
遥の視界がぼやける。

でも、
これは夢じゃない。
透の熱のこもった視線が、
確かに遥を射抜いていた。

遥は息を吸い込み、透を見つめる。

遥「……透、今のって……」

ト書き
透は真剣な眼差しのまま、遥を見つめる。

まるで、
「もう逃げない」と言わんばかりに。

そして、
透ははっきりとした声で答えた。

透「お前が、他の誰かといるのが気に入らない。」

ト書き
遥の心臓が大きく跳ねる。

周囲のクラスメイトたちも、
今の言葉に息をのんだ。

そして——
その場にいた誰もが確信した。

「これは、もう告白の流れだ——」

その瞬間——

キーンコーンカーンコーン!!

ト書き
チャイムが鳴った。

教室内が一瞬で静まり返る。
熱を帯びていた空気が、一気に引き戻される。

遥と透も動きを止めた。

遥(モノローグ)
「……えっ。」

ト書き
教室のドアが勢いよく開く。

そして、
入ってきたのは担任の先生。

先生は、
ざわつく教室を一瞥し、ため息をつく。

先生「……何やら騒がしいようだな。」

ト書き
その一言で、
クラスメイトたちは慌てて席に戻る。

遥も、
透と手を繋いでいたことに今さら気づき、
パッと手を離した。

透は、
少し不満そうな表情を見せたが、
何も言わずに席についた。

遥(モノローグ)
「ちょっ、待って、今……」
「この流れで、告白、だったよね!?」

ト書き
そんな遥の動揺をよそに、
先生は 淡々とした口調で話し始める。

先生「えー、今日はちょっとしたお知らせがある。」
先生「今日から新しい生徒が転校してくることになった。」

ト書き
その言葉に、
教室が再びざわめく。

女子A「え、また新しい転校生!?」

男子B「この時期に? どんなやつ?」

ト書き
そんな生徒たちの反応に、
先生は軽く咳払いをして、
ドアの方を振り返る。

先生「では、入ってこい。」

ト書き
全員が教室のドアへ注目する。

そして、
そこから現れたのは——

スラリとした長身の、どこか大人びた雰囲気の少女だった。

腰まで届く長い黒髪。
凛とした瞳。
落ち着いた表情。

まるで、
そこだけ別の時間が流れているかのような雰囲気を持っていた。

彼女は静かに前へ進み、
教卓の前に立つ。

そして、
ゆっくりと一礼した。

???「初めまして。」

ト書き
澄んだ声が、教室内に響く。

彼女は、
遥たちの方を ゆっくりと見回し、
そして——

最後に、
透の姿を見つけて、
ピタリと視線を止めた。

???「久しぶりね、透。」

ト書き
その言葉に、
教室が 再び静まり返る。

遥は、
息を止めたまま 透を見た。

透も、
その少女を じっと見つめている。

普段なら、
無表情な透が——
その時だけは わずかに表情を崩した。

遥の胸の奥がざわつく。

遥(モノローグ)
「……誰?透が、そんな顔をする相手って……」

ト書き
透は、
静かに 口を開いた。

透「……お前、なんでここに。」

ト書き
その一言が、
遥の心に妙な不安を生み出した。